シリーズ 51~67 文様図鑑
51. 水玉文(みずたまもん)
小さな円を水玉に見立てて全体に散らした文様。 水玉を不規則に並べたり、また規則的に整列させたり、 一部分にあしらったものなどバリエーションは様々です。 円の大きさも一定だったり、大小取り混ぜることにより、 リズムが生まれます。 洋服でお馴染みの柄であり、涼感を演出できることから、 主に夏の柄として浴衣や手拭に用いられます。 また絣の柄としても見かけます。 幾何学柄ですので装えるイメージもまたいろいろで、 可愛らしくもモダンにもなり、現在でも人気があります。
52. 組紐紋(くみひももん)
絹糸を何本も集めた束を二組以上使って、交差させて編み上げた紐を組紐といい、文箱など工芸品の飾りや帯締めなどに用いられます。 複数の色を取り混ぜたり編み方を複雑に変化ざせて、美しく繊細なものが作られ、紐自体がひとつの工芸品といってもよいでしょう。 きものの文様としては、扇や鏡、鼓などと共に用いられることが多く、平安貴族趣味的な優雅さを醸し出します。
53. 蝶紋(ちょうもん)
虫類の文様は少ないきものの中でも、蝶は形が優しく色も美しく、舞い飛ぶ姿の優美さから、奈良時代より様々に文様化されてきました。 中でも「揚羽蝶(あげはちょう)」は有職文様の一つで、 平家ゆかりの家系の家紋としても御馴染みです。  また、能装束や江戸時代の小袖にも優れた意匠が見られます。  現在でも、浴衣から小紋、振袖、帯の柄としても広く好まれています。  単独のみならず、他のものとの組み合わせで用いられることも多く、燕の形をした鳥と組み合わせた「蝶鳥文」や、 薄や菊、露芝と組み合わせて初秋の趣を、また牡丹との組み合わせで陽春・晩春を表現することもあります。
54. 萩文(はぎもん)
萩は山野に自生し、紅紫色や白色の小さな花をたくさんつけます。秋の七草の一つであり、秋草文様には欠かせません。 そのひそやかな風情は古来より日本人に愛され、「万葉集」にも萩を詠んだ歌は多く残されています。 近年は、他の季節の草花と合わせて、春秋模様とすることもあります。
55. 百合紋(ゆりもん)
百合は既に「古事記」にも記されていますが、きものの文様としては意外に少ないようです。  種類が豊富で花期も幅広い百合ですが、山百合や鬼百合は夏の文様として親しまれています。また現代では、カサブランカ等、西洋渡来の品種も多いことから、夏に限らず他の季節にも用いられる傾向が強く 小紋や訪問着の意匠として、その華やかさが好まれています。
56. 色紙紋(しきしもん)
色紙とは、和歌や俳句、絵を描く方形の厚紙を指します。 色紙をバランスよく配して、その中に四季の草花や風景などを描き入れたものが色紙文です。直線で構成される文様ですので、その硬くなりがちな雰囲気を、色紙と色紙の間に折り枝や蔦、波といった曲線を巧みに配置し、和らげている例も多くみられます。 短冊を配した<短冊文>、和紙を綴じた本を文様化した<冊子(草紙)文>(そうしもん)も同類の文様です。
57. 七宝紋(しっぽうもん)
同じ大きさの円を円周の四分の一ずつ重ねていく文様で、二つ以上の輪を重ねる文様である<輪繋ぎ(わつなぎ)>の一種です。 中には唐花などの花を配することもあります。 七宝とは仏教で、金、銀、瑠璃(るり)、珊瑚、瑪瑙(めのう)、真珠等の七つの宝を指します。 平安時代以来、公家の服装や調度品、輿車などの装飾に用いられ、 独自の優美な様式を持つ「吉祥文様」の一つとして馴染みが深く、きものや帯に多用され、改まった趣を醸し出します。
58. 南天紋(なんてんもん)
漢方薬の世界では薬草としても用いられる南天は、 「難を転ずる」に通じることから縁起の良い木、 幸福を招く木として親しまれて来ました。 寒中にたくさん赤い実をつけることが喜ばれ、 お正月の飾りとして松竹梅と共に用いられます。 写実的に表現されたものは季節感溢れる染め帯やきもののモチーフに多用され、  また意匠化されたものは、吉祥文様の一つとして用いられます。
59. 波紋(なみもん)
様々に変化する波の形を文様化したものを、波文と総称します。 荒れて大きく逆立つ波の文様には 「立波文」や「波涛(はとう)文」「荒波文」などと様々な名がついています。 それぞれ単独で地紋としたり、 千鳥や魚、兎と組み合わせたり、また風景文様として使ったりします。 表現の仕方で重厚にも繊細にも変化しますので、 礼装からゆかたまで幅広く用いられます。
60. 雪花紋(せっかもん)
降る雪を花に例えて「雪花」と呼びます。雪の様々な結晶の形を、花のようにデザイン化して表現したものが雪花文です。 本来ならばとらえどころのないような気象現象としての雪ですが、四季の変化に恵まれた日本ならではの、卓抜した文様表現です。 周囲の文様を生かし、柄ゆきに変化と格調を加える役割を演じることもでき、重宝な文様といえるでしょう。
61. 木瓜文(もっこうもん)
四つか五つの花弁状のもので囲んだ中に、唐花などを表した文様。 もともとは、瓜を輪切りにした形を意匠化したものとされ、平安時代に貴族の住居に用いられた御簾(みす)の帽額(もこう)部分を飾る文様として使われたことから、<木瓜>の文字があてられ「木瓜文」と称されるようになりました。 貴族の衣服や調度品にも用いられ、格調の高い優美な文様の一つです。
62. 蒔糊散らし(まきのりちらし)
蒔糊は、友禅染の技法の一つです。 防染糊を竹の皮に塗って薄く伸ばし、乾燥させます。それを細かく砕いて十分に湿らせた布地に蒔き、乾いてから地を染めます。 雪が降ったようにも見え、他の文様と組み合わせて冬の情景を表現したり、また全体にあしらって地模様のようにも用います。
63. 花熨斗文(はなのしもん)
草花を束ねて紙で包み、水引きで飾ったものを花熨斗といいます。 室町時代には、七夕に宮中へ贈るしきたりもありました。 雅な雰囲気の文様ですので、 四季の草花を描いて華麗に文様化したものは振袖などに見受けられます。 水引きや紐で束ねた花束の図柄は「花束文」といわれ、 花熨斗文とは区別されています。 
64. 宝船文(たからぶねもん)
宝船とは、初めは米俵や宝物を積んだ帆かけ船をさしましたが、後に七福神も描かれ るようになりました。 正月二日の夜、枕の下に敷いて寝ると吉夢を見るといい、もし悪い夢を見た時は翌 朝、この絵を川に流す習慣は、室町時代に宮中や公家階級から始まったものです。 縁起のよい文様として、現代でも晴れ着や帯に使われます。
65. 水仙花文(すいせんかもん)
水仙の花と葉を種々にかたどった文様。文様としての歴史は比較的新しく、近世になってから見られるようになりました。  可憐な花を付け正月頃に満開となる水仙は、冬の花として喜ばれ、また「仙」の字が吉祥を意味することから、新春の瑞兆花とされてきました。まっすぐな形を生かしたり、丸く花の丸状にアレンジして、友禅や紅型染めによく見られます。
66. 鍵文(かぎもん)
先端が鉤形に曲がった鉄棒に木の柄が付いたもので、  土蔵の落とし錠などを開けるのに使います。  土蔵の中の宝物を守るこから、縁起のよいものとして文様化され、  「宝尽くし文」の中の一つとなりました。  家紋にも見られます。
67. 籠目文(かごめもん)
竹で編んだ籠の、編目をそのまま文様化したものです。幾何学的な構成の直線連続文様ですが、籠目の一つを取り上げて紋章にしたものも見られます。友禅染めの一部分に使って空間を引き締める役割を担ったり、江戸小紋の文様の一つとしても御馴染みです。また、帯の地紋にも見られます。



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