17. 雲文様(うんもんよう)
雲がたなびいている様を線や色で表した文様です。
千変万化する雲の形に吉凶の意味を託すことは 古くから行われており、正倉院所蔵の各種の宝物の中にも
さまざまな雲の形を見ることが出来ます。瑞祥を表す雲を図案化したものは<瑞雲>と名付けられ 吉祥紋として使われます。また、雲の輪郭を生かし、中に様々な文様を 詰め込んだものは<雲取り>と呼ばれます。
様々な着物や帯に使われる雲文様は、また白生地の地紋としても好まれています。
写真は 雲模様大島紬
18. 扇面文様(せんめんもんよう)
別名<扇文>、<末広文>とも呼ばれます。
扇は末が広がることから、
末広で発展することを意味し、
縁起の良いものとされました。
扇面の中に草花など様々な文様を入れることが多く、扇に貼る地紙のみで用いられた時は、<地紙文>と呼ばれます。
王朝風の雅な雰囲気から、典雅な晴れ着に向く文様といえます。
写真は、綴れ帯
19. 車文様(くるまもんよう)
もともとは、御所車の車輪を文様化したものですが御所車全体の文様や水車の文様を含むこともあります。
またバリエーションとして、車輪が水の中に隠れて、半分見えなくなった状態を文様化した<片輪車>もあります。
車文単独で表現される他、
染めの着物の場合は 草花を添えたり風景の中に配したりして用いられることも多く、雅な雰囲気が好まれています。
写真は、大島紬
20. 松文様(まつもんよう)
松は日本の風景画になくてはならない樹木です。
その葉は常に緑を保つことから
長寿の象徴として古くから人々に親しまれてきました。
また、雪や霜にあたっても葉の色が変わらないことから
「春まで待つ」という意味もあり、
それが長寿、延命につながるとも考えられています。
現代でも格調の高い文様の一つとして
様々な着物や帯に用いられています。
季節を選らばず一年中着用できるのも便利です。
写真は、松刺繍袋帯
21. 桐文様(きりもんよう)
桐は、中国では鳳凰の住む木として
尊ばれ、日本でも菊と共に皇室の紋と
されてきました。
通常三枚の葉に三房の花をつけて表現され、「桐竹」や「桐竹鳳凰」といった組み合わせもあります。
格調高い文様で、家紋としてもおなじみですが、代表的な吉祥文様として
祝儀の着物や袋帯に好んで用いられます。
22. 花篭文様(はなかごもんよう)
いろいろな花を、竹で編んだ籠に盛った形を文様化したものです。
中国の故事から瑞祥の意味を持ちますが、日本的な優雅な雰囲気が好まれ、
江戸時代から様々に使われてきました。
四季の花々を盛ったものは季節を問わずに着用できますが、秋草のものは特に画趣に富み、夏の着物や帯の意匠に好まれます。
23. 瓢箪紋(ひょうたんもん)
瓢箪はウリ科の一年草で夕顔の変種です。
果実は長く中央がくびれ、成熟したものは果皮が硬くなり
昔から酒の容器や装飾品にされました。
そのために洒脱な文様とされ、
主に男性の羽裏や中年向きの着物や帯に使われます。
別名を「ふくべ」「ひさご」とも言い、
瓢箪の群生している様子を図案化した千成瓢箪は、秀吉の馬印として、特に有名です。
24. 花兎文(はなうさぎもん)
花樹の下で耳を立て、後ろを振り向いている兎を 横列に織り出した文様で「花兎金襴」とも呼ばれ、
名物裂(室町時代から桃山時代にかけて、中国・インド・ 中近東の国々から渡来した織物の総称)文様の一つです。
名物裂は主に茶道の世界に珍重され、
審美眼のある大茶人たちを惹きつけただけに、 洗練された意匠と色彩で、
現代の帯や着物に多く写されています。
ちなみに花兎文は桃山時代に角倉了以が愛好し「角倉金襴」とも呼ばれています。
25. 葵文様(あおいもんよう)
室町時代に多く渡来した、
中国明代を中心に織られた錦(蜀江錦)に織り出された文様を言います。
八角形の四角に正方形を重ね、
中に花文や龍文など いろいろな文様を配したものです。
現代では、忠実な蜀江写しもありますが
中の文様を現代風にアレンジしたものもあり、帯によく使われます。
26. 雪輪文(ゆきわもん)
雪文様の一つで、雪の結晶に見られる美しい六角形の輪郭を 円形に描いた線文様です。
雪輪の中に別の文様を入れたり、
雪輪を文様の区切りに用いたりもします。
平安時代から見られた文様で
能装束にも優れた作品が残されています。
その優美な形から、振袖、留袖、小紋、帯などに幅広く使われ、万人に愛されている文様です。
27. 沢潟文(おもだかもん)
沢潟は 水田や池、沼などに自生する多年草でw 葉脈が高くなっているので「面高」とも言われます。
独特の葉の形と可憐な花、
水の中からすっきりと立ち上がった姿が愛され、平安時代から文様化されました。家紋にも見られます。
写真の白い葉が沢潟です。
28. 本紋(ほんもん)
一個の文様を規則的に繰り返して配置した文様で 縦横に割ることのできるものを割付文様と総称し、 直線で構成されたものと 曲線で構成されたものの2種類があります。
本紋は、直線で構成された割付文様の一つである 「紗綾型(さやがた)」に蘭と菊をあしらった合わせ紋で
白生地の地紋として多く使われます。
文様名の由来は、「本格的」とか「本物」「本式」の意味、 または徳川家の定め紋を本紋と呼んだことから、とも言われています。
29. 蘭花文(らんかもん)
蘭は松、竹、梅と構成して「四友(しゆう
竹、梅、菊とで「四君子(しくんし)」
梅、菊、蓮とで「四愛(しあい)」と呼ばれ、 瑞花として文様に用いられてきました。
現代でも 写実的に描かれたものの他、 蘭の花丸、蘭枝丸としても見られます。
近年はカトレアなども意匠化され、そのモダンであでやかな雰囲気が好まれています。
30. 蔓帯文(かずらおびもん)
葛帯とは、能衣装の一つで、面を付ける前に蔓を押さえるように鉢巻上に頭に巻き、後で結ぶ細い紐状の布のことです。
この蔓帯には、刺繍や金箔といった繊細は文様が施されており、それを図案化したものが、蔓帯文です。
蔓帯の中に古典文様や四季の草花を染めた染の着物や袋帯は、格式のあるアイテムとして現代でも多用されます。
31. 松葉文(まつばもん)
松文と同じく、文様としては多用されているのがこの松葉文です。松特有の針状の葉は、他の木の葉と異なり、単純なものでは二股に分かれた直線が1点で結び合う形で表現されます。
松葉を一面に散らした「松葉散らし」や「松葉丸文」、「松葉小紋」もあり、その多彩な表現から、松を愛した古来の日本人の心情が伺えます。
32. 華文(かもん)
花を抽象化して丸い形に文様化したもので特定の花を指すのではなく、
何となく花のような形をした華麗な文様全般をいいます。
そのルーツは古く、正倉院御物の中に様々な華文を見ることができます。
奈良の都で最上流の人々の高貴な好みにかない、工芸の中で生き続けて来た華文はその威厳に満ちた華やかさから、
礼装用の袋帯や留袖、訪問着の文様として多く使われます。
33. 青海波紋(せいかいはもん)
大海原の広さと神秘さを抽象的に表した、波文の一種です。
同心円を交互に重ね、同心円の一部が扇のように重なり合って波のうねりを表します。
中国では地図で海を表すのに、この文様を用いました。
舞楽「青海波」の衣装にも多用され、能装束や小袖などの水を表現する地紋に使われてきました。
おめでたい席に使用してもよい文様です。